心澄み切る瞑想体験
天草にキリシタンが伝来する以前にあったのは、真言宗と天台宗を中心とする修験道の信仰でした。
自然を崇めて自らの心を清める行をする数少ない霊場が「小ヶ倉観音院」です。
霊峰倉岳の中腹にある小ヶ倉観音院の参道に入った瞬間から清らかな空気を感じる聖地で、今でも滝行をする人がいて、誰もが癒される場所です。
清々しい参道
天草は海のイメージが強いですが、小ヶ倉観音院は、天草の秘境を思わせる聖地です。
小ヶ倉観音院の参道を歩くと、まるで和歌山の聖地高野山のような清々しい空気を感じます。
特に都会の雑踏の中で暮らす人にとっては、澄み切った空気自体は、なかなか味わえないものであることを実感します。
ここに来ると思わず深呼吸をして、胸いっぱいに酸素を吸い込みたくなると由美さん。
昔から滝行が行われるていて、本堂の裏山には、小さな八十八ヶ所霊場巡りがあります。
由美さんは、独自の呼吸法のレッスンをしていますが、この場所で深呼吸すると、マイナスイオンがいっぱいで通常より多くの酸素が細胞に送られて、生命力がより活性化するようです。
呼吸は命の営みであることを時間する場所です。
岩に掘られたご本尊
小ヶ倉観音院の本堂に上がると、正面に古くて大きな仏壇がありますが、よく見ると中には仏像の御姿はなく、透明のガラスが張ってあります。
空っぽの仏壇だと思っていると、透明のガラスごしに、岩肌に阿弥陀三尊の梵字が刻まれているのが見えます。脇侍の勢至菩薩と観世音菩薩は通常とは違い反対に位置しています。
地元の人のご接待
この日は、肌寒い天気でしたが、由美さんが小ヶ倉観音院に参拝されるときいて、地元の人たちが山に登りテントを張って、大鍋に油を満たしてガネアゲのてんぷらでご接待してくださいました。
ガネアゲとは、天草独自郷土料理で、唐芋(さつま芋)の天ぷらのことです。
揚げたての熱々のガネアゲは絶品でどんどん食が進みます。
なぜガネアゲなのかと言えば、唐芋を千切りにしててんぷらにした時の形が、カニが足を開いている形とよく似ているからだそうです。
また、一般的にさつま芋と呼ばれる芋を、天草では唐芋と呼びます。それは、天草の人たちは昔から唐(中国)との直接貿易をして輸入していた芋なので「唐芋」と呼んでいました。
さつま芋は、薩摩藩が唐(中国)から輸入して国内に流通させていたので「さつま芋」の名前で親しまれています。
ちなみにガネアゲは、その地域や家によって独自の秘伝の味付けが楽しみな料理です。