めいどサロン吉野屋(倉岳町)
めいどサロンとは、冥土に近い年齢のメイドさんたちが、メイドイン天草の産物でめいどの土産を用意してお世話をする接待所です。
天草弁で温かいおもてなしと、他では味わえない極楽へ行くための訓練など、とても楽しい体験ができます。
好きな名前をつける
極楽にへ行くには、それなりの名前が要ります。仏教では、戒名をお坊さんがつけて下さいますが、吉野屋では、自分自身が自分の好きな名前をつけること(改名)ができます。
吉野屋であらかじめ用意されているシールとペンを使って、その場で自分が呼ばれたい名前を書いて、服の胸元に貼ります。
ここでは、お互いに好きなニックネームを呼んで会話します。若い頃呼ばれていたニックネームや、好きなネームを付けて楽しみましょう。
由美さんのかい名は「ミーコ」でした。
極楽へ行く訓練をする
吉野屋では、極楽と地獄の違いを教えてくれます。
それは、食事の仕方から違うというお話です。長い箸があって、極楽の人たちはその箸で向かい側の人たちの口に食事を運んであげるけど、地獄の人たちは自分の口に長い箸を運ぼうとするから食べれないというのです。
そこで、極楽へいくためには長い箸の使い方が上手にならないといけないということで、ここでは極楽箸の使い方の訓練をします。
天草の郷土料理を食する
由美さんが極楽箸で食べた料理は、天草の郷土料理で「しただご」といいます。「しただご」とは「舌だご」と書き舌の形をしたお団子です。
吉野屋では、地元で採れる美味しい食材を使ってご接待をしますが、特に極楽箸では「しただご」を食します。
昔の人は、身近な野草を用いて料理を作っていましたが、いまは忘れさられています。
吉野屋では、メイドイン天草の食材(野草料理)でおもてなし、冥土のみやげつくり(楽しい思い出作り、伝承の場)冥土に近いものがおもてなしを致します。
楽しい天草弁講座
天草を巡るには、天草弁を使うととても楽しい旅ができます。
例えば、天草弁で「だんだん」は「有難うございます」という意味です。
お世話になったら「だんだん」と自然に言えるようになるとネイティブアマクサンです。
意外なことですが、天草は日本でもっともボキャブラリーが多い方言で、日本中の方言学者が研究をしています。キリシタン時代の外来語は元より、天草島原一揆後の大規模な移民政策で、日本の各地から多くの人たちが天草に移り住んだっため、天草は方言のるつぼと言われています。
吉野屋では、めいどさんたちが天草弁を楽しいクイズ形式で教えてくれます。ここでの会話そのものが楽しいお土産になります。
めいどサロン吉野屋のはじまり
そもそも「めいどサロン吉野屋」のはじまりは、ボランティアで施設慰問をしていた「こっぱ劇団」の活動にあります。
その劇団員が、少子高齢化の波が押し寄せる自分たちの地域で、何か地域のためになる活動をしたいと思ってはじめたのが、天草や倉岳町の来訪者を、空き家を活用してご接待することで、2011年のことでした。
元々演劇が好きなメンバーなので、面白可笑しくご接待するのが話題になり、「めいどサロン」というユニークな名前も加勢して一躍有名になり、多くの芸能人たちも訪れています。
高齢者が明るく楽しくふれあう場所がめいどサロン吉野屋で、みんなで笑って楽しい思い出こそが、ここでの一番の「めいどの土産」です。