天草下島の中心に位置し、天草のヒマラヤと言われるように海はまったく見えず、山間の盆地にある宮地岳町です。
高齢者のかかし作りからかかし祭りに発展し、期間中数万人の人を呼ぶようになり、やがて道の駅が誕生し、映画「のさりの島」のロケ地にまでなった地域おこしのモデル地区です。
まるで生きているようなかかしたち
ここのかかしはまるで生きているような存在感があります。
それもそのはずで、かかしの里をコーディネートしているのは元美術の教員の碓井弘幸さんだからです。
碓井さんは、本格的な能面を作る技能をもっていて、一つひとつのかかしの表情がとても豊かで、田んぼの中のかかしとは言えないぐらいリアルです。
また、各スペースのかかしにはそれぞれテーマがあり、古い家でコタツを取り囲んでいる家族や、来客を接待しているかかしに、お祭りをしているかかし、小学校で授業中のかかしなど、昔この村にあった懐かしい風景が再現されています。
かかしか、人なのかが分からないくらい、風景に溶け込んでいる500体のかかしたちは、すでに宮地岳の住民の数より多いそうです。
勝海舟と宮地岳の授業
元々廃校になった小学校を道の駅として利活用しているかかしの里には、かかしたちの教室があります。
そして、この教室では予約するとかかしたちと一緒に本物の授業を受けることができます。
1時間目は「日本の歴史」と題して、勝海舟と宮地岳のお話を聴かせてもらえます。
幕末、海防のため全国を飛び回っていた勝海舟は、天草にもやってきていますが、その時に宮地岳の中西庄屋さんと懇意になり、富岡でご接待を受けています。
天草ならではのおもてなしを受けた勝海舟は、その後咸臨丸をオランダから購入してアメリカへ自ら船長として操縦していますが、幕府の役人として天領である天草の庄屋との人間的なやりとりのお話はとても面白い歴史の秘話です。
のさりの授業
のさりとは、天からの授かりものであり、巡り合わせという天草弁ですが、かかしの小学校では、のさりについての授業を受けることができます。
良いことも悪いことものさりとして前向きに受け止めて生きることは、ストレスが多い現代社会ではとても有意義な自己啓発です。
授業では、じっさいに自分の人生をふりかえって、幸せのグラフを自ら描いて、嬉しかった時と苦しかった時の両方が意味ある経験だったことを確かめますが、由美さんも辛い時こそ、自分の尊い命を大切にすることを熱弁されました。
ここは、一つの人生学校です。
かかしと記念撮影
かかしと一緒に混ざって写真を撮ると面白い風景が取れます。
自分とかかしがまるで友達のような写真が取れて、思わず笑ってしまいます。
いろんなシチュエーションのかかしがいますので、その中に溶け込んで写真を撮ってみてください。
幸せな自分の人生の物語を作る
いつ、どこで、だれと何をしたか?
その出来事の連続が人生劇場というドラマを作り上げます。
かかしの里では、そんな人生劇場の小さな舞台が用意されていて、そこで撮った写真も人生の一コマとなります。
どうせ生きるなら楽しく生きたいと誰もが思いますが、そのためにはどんなことも前向きに受け止めるのさりの心が大切です。
童心に帰ってかかしと遊びながら、自然な笑顔の自分をみると、余分な力が抜けて、楽になります。
相手がかかしでも、自分の心次第で楽しい時間になります。遊び心を大切にして楽しく生きるヒントがここにはあります。
誰もがここではかかしと一緒に楽しい時間を過ごすことができます。